eSIMに電話番号は付くのか2026

監修: 本記事は総務省の携帯電話番号ポータビリティ(MNP)制度資料、GSMAのeSIM技術仕様、AppleのeSIM設定ガイド、国内外の通信事業者が公開している契約約款と料金表に基づいて構成しています。制度と料金は2026年10月時点のもので、事業者の改定により変わる場合があります。

先に結論——旅行用のeSIMに電話番号は付いてこない

検索してこの記事に来た人の多くは、たぶんこう考えています。eSIMに変えたら、電話番号はどうなるのか。新しい番号が付いてくるのか、いまの番号は消えるのか。

答えは、商品によって2種類に分かれます。そして、日本の旅行者が買うeSIMの大半は、データ専用で、電話番号が付いてきません。地図も検索も写真の共有もできますが、電話はかけられず、SMSも受け取れません。

ここで「じゃあ電話番号は失うのか」と不安になる必要はありません。電話番号は、eSIMにしたかどうかでは消えません。消えるかどうかを決めるのは、いま使っている音声の契約をどうするかです。

つまり、この話は端末の設定ではなく、契約の設計です。順番としては、設定より先に契約を決める。ここを取り違えると、旅行から帰ってきたあとにSMSが届かない、という状態になります。

この記事でわかること:

  • 旅行用eSIMに番号が付く場合と付かない場合の違い
  • 日本の番号が残る人と止まる人を分ける条件
  • 海外にいながらSMS認証を受け取る設定と、届かないときの切り分け
  • 番号付きのeSIMという選択肢の中身
  • 2つ目の番号を持つ方法と、その費用対効果

電話番号の行方は、出発前に3つに分かれている

電話番号の話は、選択肢が3つしかありません。残す、増やす、手放す。どれを選ぶかで、必要な手続きが変わります。

選ぶ道 何をするか 番号 向いている人
残す 音声SIMの契約を維持し、eSIMはデータ用に追加 日本の番号がそのまま 短期の旅行、SMS認証が必要
増やす 音声対応のeSIMを追加して2番号目を持つ 日本+現地、または日本2つ 長期滞在、仕事で連絡が要る
手放す 音声SIMを解約し、データ専用eSIMだけにする 番号は事業者に戻る 帰国予定がなく、番号が不要

多くの人が選ぶのは1つ目です。そして1つ目を選んだのに、SMSが届かなくて困る。原因はほぼ決まっていて、設定の話ではなく、回線をオフにしていることです。2つ目は、旅行の期間が長い人に向きます。3つ目は、選ぶ前に確認すべきことがあります。

日本の電話番号を残す——音声SIMを解約しないという条件

電話番号が残る条件は、ひとつだけです。その電話番号を発行している事業者との契約を、続けていること。

当たり前に聞こえますが、ここに落とし穴があります。eSIMに変える、という言葉を、契約を変えることだと受け取ってしまう人がいます。そして、いまのSIMを解約して、海外用のeSIMに一本化する。これをやると、番号は失われます。

電話番号は事業者が管理する資源で、解約すると事業者に戻ります。そして一定の期間が過ぎると、別の利用者に割り当てられます。戻ってくる保証はありません。同じ電話番号を後から取り直すことは、基本的にできないと考えてください。

データ専用eSIMを足すだけなら、契約は動かない

旅行用のeSIMは、いまの契約に追加する形で使います。日本の音声SIMはそのまま、eSIMはデータ用として横に並べる。この形なら、電話番号に関する手続きは何も発生しません。

必要なのは、端末が2回線を同時に待ち受けできることです。近年のiPhoneとAndroidの多くは対応していますが、古い端末や海外モデルでは片方だけという場合があります。設定画面に回線が2本並ぶかどうかで判断できます。自分の端末が該当するかは、型番から引ける対応機種一覧で確認できます。

番号を残すと、何が止まるのか

契約を続けていても、使えない状態になることがあります。回線をオフにしたときです。

海外では、データ通信をeSIMに切り替えます。このとき、日本のSIMの回線までオフにしてしまう人がいます。データを使わないのだから切っておこう、という判断です。しかし、回線を止めると届く手段も止まります。SMSも着信も、回線が生きている前提で動く仕組みです。電話番号は生きているのに、届かない。

電話番号を残すというのは、契約を残すことと、回線を生かすことの両方です。片方だけでは足りません。データをeSIMに切り替える手順そのものは、海外eSIMの切り替えタイミングに順番でまとめてあります。

残した電話番号でSMSを受け取る設定

設定そのものは、3つの項目で決まります。

データ通信に使う回線をeSIMに指定する。 これで、日本のSIMからデータが出ていきません。海外パケットの課金も動きません。

日本のSIMの回線は、オンのままにする。 待ち受けに必要です。オフにするとSMSが止まります。

日本のSIMのローミングは、切ったままにする。 データはeSIMから流れるので不要です。ここをオフにしておくと、設定が戻ったときの事故も防げます。

この3つで、データは現地のeSIM、SMSと着信は日本の電話番号、という状態になります。

受信は無料、送信と通話は有料

SMSの受信にかかる料金は、多くの事業者で無料です。海外にいても、日本の番号あてに届いたSMSを受け取るぶんには課金されない、という扱いが一般的です。

一方、送信は有料です。1通あたり数十円から百円程度が目安ですが、事業者と渡航先で変わります。

通話は、もっと注意が要ります。日本の電話番号あての電話は、海外にいるあいだも鳴ります。ただし、出た時点で国際ローミングの通話料が発生することがあります。かけても受けても、です。数分の通話で数千円という請求は、珍しくありません。日本の電話番号で話す用事がある旅なら、事業者の料金表を出発前に見ておいてください。

機内モードは、SMSも止める

飛行機の中で機内モードにしたまま、降りてから戻し忘れる。これも多いパターンです。機内モードは電波の送受信を止める設定なので、SMSも着信も来ません。

到着後の手順として、機内モードの解除を忘れないこと。そして、解除したあとに日本のSIMが網をつかんでいるか、画面の表示で確認してください。eSIMの事業者名だけが出ていて、日本の事業者名が出ていない場合は、日本のSIMの回線がオフになっています。

海外でSMS認証が届かないとき、どこが悪いのか

旅行中にSMSが必要になる場面は、思っているより多くあります。カードの利用通知、銀行や証券のログイン、各種サービスの二段階認証、航空会社の予約変更、宿のチェックイン案内。どれも、電話番号あてにしか送られてきません。

届かないときの原因は、大きく4つです。

症状 原因 確認する場所
何も届かない 日本のSIMの回線がオフ 回線一覧のオン・オフ
何も届かない 機内モードが残っている 画面最上部の表示
届くが遅い、または一部だけ来ない 電波が弱い、または端末が網を手放した 機内モードの入切で掴み直す
特定のサービスだけ届かない 送信元が海外宛のSMSを制限している サービスの設定、または別の認証方法

上から順に確認すれば、大半は1つ目か2つ目です。3つ目は、機内モードを15秒ほど入れて切る操作で改善することがあります。

4つ目は、端末側では解決できません。日本のサービスの中には、海外の網にいる番号あてのSMSを送らない設定にしているものがあります。この場合は、メールでの認証に切り替えるか、帰国後に手続きをするしかありません。旅行前に、普段使うサービスの認証方法を一度確認しておくと、現地で慌てずに済みます。

認証のために、日本のSIMをデータONにしない

ここは事故が起きやすいところです。SMSが届かないからといって、日本のSIMのデータ通信をオンにする。これをやると、海外パケットの課金が動きます。1日あたり数千円という単価の商品も珍しくありません。

SMSはデータ通信ではありません。回線がオンで、電波をつかんでいれば届きます。データをオンにする必要はありません。

電話番号付きのeSIMという選択肢

データ専用ではないeSIMもあります。音声通話とSMSに対応したeSIMで、買い方によって2種類に分かれます。

日本の電話番号が付くもの。 国内キャリアと格安SIMが提供するeSIMの音声プランです。契約すると、090・080・070で始まる番号が発行されます。これは実質的に、いまの音声契約をeSIMに置き換える形です。物理SIMが手元からなくなるだけで、番号の考え方は同じです。

現地の電話番号が付くもの。 海外の事業者が提供する、音声とデータがセットになった旅行用eSIMです。渡航先の番号が発行されるため、現地の宿やレストランに電話をかけたり、現地の配車アプリに登録したりできます。ただし、これは日本の電話番号ではありません。日本のSMS認証には使えません。

この2つを混同すると、判断を誤ります。「番号付きのeSIMを買ったのに、日本のSMSが届かない」というのは、後者を買った場合に起きます。どの事業者が音声に対応しているかは、海外旅行eSIMのプロバイダー比較で各社の項目を並べて確認できます。

番号付きを選ぶべき人

現地で電話をかける予定があるなら、現地番号付きのeSIMには意味があります。配車アプリの運転手から電話が来る、宿に到着時刻を伝える、ツアーの集合場所を確認する。こうした場面では、データだけでは足りません。

逆に、日本との連絡が主なら、現地番号は不要です。日本のSIMを残しておけば済みます。番号を2つ持つと、どちらに連絡が来たかを管理する手間が増えます。旅行のあいだだけなら、その手間は割に合わないことが多い。

2つ目の電話番号を持つ——eSIMで増やす

物理SIMの時代、電話番号を2つ持つには端末を2台持つか、SIMスロットが2つある端末に2枚挿すしかありませんでした。eSIMなら、プロファイルを追加するだけで増やせます。

方法は3つあります。

国内の格安SIMで音声プランを追加する。 月額の維持費はかかりますが、日本の番号をもう1つ持てます。仕事用と私用を分けたい人、あるいは1つ目の番号を解約せずに別の番号を試したい人に向きます。

現地のeSIMを旅行中だけ追加する。 日本にいる間は使いません。旅行のたびに入れて、帰国後にオフにする。維持費はかかりませんが、番号は旅行の期間だけのものです。

データ専用のeSIMを追加する。 番号は増えません。回線を増やしたい理由がデータ量なら、これで足ります。

2番目と3番目は、同じ「eSIMを追加する」でも意味が違います。番号が欲しいのか、データが欲しいのか。ここを分けて考えると、無駄な契約を避けられます。

維持費まで含めて並べると、こうなります。金額は2026年10月時点のおおよその水準で、事業者とプランによって上下します。

方法 初期費用の目安 月額の目安 得られる番号 向く期間
音声SIMを維持(格安SIM) 0〜3,300円 500〜2,000円 日本の番号1つ 短期から長期
音声SIMを維持(大手キャリア) 0〜3,300円 3,000〜8,000円 日本の番号1つ 端末割引がある場合
渡航先の番号付きeSIM 1,500〜4,000円 0円 現地の番号 旅行中のみ
日本で2番号目を追加(eSIM音声) 0〜3,300円 500〜1,500円 日本の番号2つ 長期

表を見ると分かりますが、番号を残すために必ずしも高い契約を続ける必要はありません。音声SIMを格安SIMに移しておけば、月額は1,000円前後に収まります。旅行のあいだ番号を寝かせておくだけなら、この形が最も安く済みます。ただし、移行の手続きには日数がかかるので、旅行の1か月前には済ませておいてください。

増やすと、管理するものが増える

番号が2つになると、どちらの番号で何に登録したかを覚えておく必要が出てきます。SMS認証は、登録した番号にしか届きません。1つ目の番号を解約すると、その番号で登録したサービスの認証が通らなくなります。

2つ目を持つ前に、いまの番号で何に登録しているかを洗い出しておくと安全です。カード、銀行、証券、保険、ふるさと納税、各種サブスクリプション。数が多いと、後から追えなくなります。

電話番号を失う前に確認する5つ

解約や乗り換えの前に、確認しておきたいことがあります。電話番号は、失ってからでは取り返せません。

1つ目は、その電話番号で登録しているサービス。 思っているより多いはずです。少なくとも、お金に関わるものは全部書き出してください。

2つ目は、その電話番号あてに届く通知の有無。 カードの不正利用通知、宅配の再配達、金融機関の取引通知。止まると困るものだけでも把握しておきます。

3つ目は、家族や勤務先への連絡。 電話番号が変わると、相手は古い番号にかけてきます。連絡先の変更は、本人がやるしかありません。

4つ目は、MNPで電話番号を維持できるか。 契約先を変えるだけなら、番号は引き継げます。条件を満たせば、同じ電話番号のまま事業者を変えられます。解約とは違います。

5つ目は、eSIMの再発行の条件。 端末を替えるとき、あるいは端末を壊したときに、同じ電話番号でeSIMを再発行できるか。事業者によって手数料と手続きが違います。ここが有料で高額な事業者もあり、機種変更の多い人には効いてきます。

この5つを確認せずに解約すると、あとから「あの番号で登録していた」というものが必ず出てきます。

そして、番号を残すためにeSIMにしなければならない理由も、実はありません。物理SIMのままでも番号は残ります。端末に空きスロットがあるなら、海外用のeSIMを足すだけで済みます。物理SIMのまま使うという選択肢も含めて比べたいなら、eSIMに変える前に読む比較が参考になります。

訪日客が日本で電話番号を持つ場合

ここまでは、日本人が海外に出る前提で書いてきました。逆の立場、つまり日本に来る人が番号を持つ場合も、考え方は同じです。

日本の電話番号が必要になるのは、日本国内のサービスに登録するときです。宿の予約、宅配ロッカー、国内のアプリ、あるいは銀行口座。データだけでは通らない場面があります。

短期の旅行なら、現地の電話番号は必須ではありません。宿やツアーの連絡はメールで足りることが多く、地図と翻訳があれば移動できます。長期の滞在や、日本で働く予定があるなら、音声対応のプリペイドか、キャリアの音声プランを検討する形になります。

日本で使えるeSIMの選択肢そのものは、日本で使えるeSIMの整理に、在住者と訪日客を分けてまとめてあります。eSIMの仕組みから確認したい場合は、eSIMの基礎知識を先に読むと、この後の判断が早くなります。

電話番号とSMS認証について、よく聞かれる8つのこと

Q1. eSIMにしたら、いまの電話番号は使えなくなりますか?

A. 使えなくなません。eSIMは回線の入れ物が変わるだけで、電話番号を発行している事業者との契約が続いていれば、番号はそのままです。電話番号が止まるのは、契約を解約したときです。

Q2. データ専用のeSIMでも、SMSは受け取れますか?

A. 受け取れません。データ専用のeSIMには電話番号が紐づいていないため、SMSを受け取る先がありません。SMSが必要なら、日本の音声SIMの回線をオンのままにしておいてください。

Q3. 海外でSMSが届きません。一番多い原因は?

A. 日本のSIMの回線がオフになっていることです。データ通信をeSIMに切り替えるとき、同じ画面で回線ごとオフにしてしまう例が多く見られます。データはeSIM、回線はオンのまま。この形にしてください。

Q4. 番号付きのeSIMを買えば、日本のSMS認証に使えますか?

A. 使えません。海外の事業者が発行する番号は、その国の番号です。日本のサービスに登録した番号とは別物なので、認証SMSは届きません。日本の認証が必要なら、日本の番号を残してください。

Q5. 着信を受けるだけで料金はかかりますか?

A. かかることがあります。海外で日本の電話番号あての電話に出ると、国際ローミングの通話料が発生します。SMSの受信は無料のことが多いのと対照的です。事業者の料金表で確認してください。

Q6. 2つ目の番号は、eSIMで持てますか?

A. 持てます。国内の格安SIMの音声プランをeSIMで追加すれば、2つ目の電話番号になります。端末が2回線を同時に待ち受けできる必要があります。維持費は月額で発生します。

Q7. 番号を残したまま、端末だけ替えられますか?

A. 替えられます。ただし、古い端末でプロファイルを削除する前に、移行の手続きを済ませてください。削除すると再発行が必要になり、手数料がかかる場合があります。移し替えの段取りは、端末を替えるときのeSIM移行にまとめています。

Q8. 番号を解約したあと、同じ番号に戻せますか?

A. 基本的に戻せません。解約した電話番号は事業者に戻り、一定期間の後に別の利用者へ割り当てられます。電話番号を維持したまま契約先だけを変えたい場合は、解約ではなくMNPを利用してください。

まとめ:番号は「残す・増やす・諦める」の3択

最後に、判断の順番だけ整理します。

  • 旅行のあいだ、日本のSMS認証が必要か。 必要なら、音声SIMの契約は動かさない。データだけeSIMに足す
  • 現地で電話をかける予定があるか。 あるなら、現地の電話番号付きeSIMを検討する。日本の番号とは別物
  • 日本に戻る予定があるか。 あるなら、番号は残す。解約は戻せない
  • 電話番号を2つ持ちたい理由は、番号か、データか。 番号なら音声プラン、データならデータ専用で足りる

そして、いちばん多い失敗は、設定の話ではありません。データをeSIMに切り替えたときに、日本のSIMの回線までオフにしてしまうことです。番号は生きているのに、SMSが届かない。この状態は、本人が気づかないまま数日続きます。

契約が生きていても、回線が止まっていれば電話番号は働きません。この2つを分けて覚えておけば、旅先で認証に詰まる場面はほとんどなくなります。


本記事の制度と料金に関する記述は2026年10月時点の公開情報に基づきます。番号の扱いと手数料は事業者ごとに異なるため、契約の変更前には各社の公式サイトで最新の条件をご確認ください。