Ubigiは本当に強いのか、言われている5つの主張を順に確かめる

Roami Team
28. October 2026
13 分で読める
Roami Team

Roami Team

Roami は eSIM テクノロジーを専門とし、グローバルな接続ソリューションを提供しています。

Ubigi eSIMの評判|docomoとKDDIの二回線で何が変わるか

「NTT系だからdocomo」は半分だけ本当だ

Ubigi eSIMを検索すると、必ずと言っていいほど同じ説明が出てくる。NTTグループのサービスで、docomoの回線を使っているから速い、と。

この説明は、半分は正確だ。そして半分は、判断を誤らせる。

正確な部分はこうだ。Ubigiの運営元であるTransatelは、2019年にNTTグループが買収した。だから資本としてはNTT系に入る。そして日本のプランでは、docomoの網を実際に使っている。ここまでは事実で、間違いではない。

誤らせる部分は、この2つを繋げて「docomoのeSIM」と読ませるところにある。Ubigi eSIMはMVNOの商品であって、docomoが直営で売っているものではない。料金体系も、サポート窓口も、docomoとは別に設計されている。docomoショップに持って行っても対応してもらえない。

この違いが実害になるのは、困ったときだ。「NTT系だから安心」と思って買った人が、繋がらないときにdocomoの窓口へ行っても、そこで解決しない。問い合わせ先はUbigiのサポートであり、そこはアプリとメールの世界だ。

だから、最初にこれを置いておく。Ubigi eSIMはNTTグループの会社が売っているが、docomoのサポートは受けられない。この一行を頭に入れておくだけで、後の判断がぶれなくなる。

では、他の主張はどうなのか。順に見ていく。


Ubigiは何者か。TransatelとNTTの関係

Ubigi eSIMを理解するには、2つの会社の関係を押さえる必要がある。

Transatelはフランスに拠点を置く通信事業者で、MVNOの基盤を他社に提供する事業をしている。Ubigiはその消費者向けブランドだ。NTTグループは2019年にTransatelを買収し、以後グループ傘下に入っている。

ここで重要なのは、Transatelが「回線を転売するだけの業者」ではないという点だ。自前の通信基盤を持ち、複数の大陸にゲートウェイを置いている。データを遠くの拠点まで引っぱらず、現地で処理する仕組みを持っている。

この構造が、旅行用eSIMの世界では珍しい。多くの旅行eSIMは、通信容量を卸売りで仕入れて小売りする形で動いている。自社では設備を持たない。安く提供しやすい反面、混雑時の優先度が下がったり、データが遠回りしたりする。

ただし、ここで冷静になっておきたい。自前の基盤を持っていることは、速さを保証しない。速度は最終的に、その場所の電波と混雑で決まる。構造の違いは、遅延が出にくい土台がある、という程度の話だ。「MVNOだから速い」と断定する記事を見かけたら、その根拠を疑ったほうがいい。

eSIMの仕組みそのものから確認したい場合は、eSIMとは何かの基本を先に読むと、以下の話が入りやすい。転売型と自前基盤型の違いは、プロバイダー比較の記事で各社を並べて確認できる。


docomoとKDDIの二回線、切り替えは選べない

Ubigi eSIMの日本プランは、docomoとKDDI(au)の2つの網を使う。ここは、他社との差がはっきり出る部分だ。

日本の携帯網は3社に分かれていて、電波の届く範囲がそれぞれ違う。

回線 都市部の速度 地方・山間部 地下・建物内
docomo 安定 全国で最も面が広い 入りやすい
KDDI(au) 都市部で高速 docomoに次ぐ 建物によっては弱い
SoftBank 繁華街で速い 面はやや狭い 場所による

2社を同時に使えるため、片方が弱い場所でももう片方で補える。都市部ではKDDIの速度が活き、地方ではdocomoの面の広さが効く。1社だけのeSIMでは、この補完が起きない。

だが、この2社を自分で選ぶことはできない。 設定画面に切り替え項目はなく、端末が自動で判断する。

これが利点になるのは、何も考えずに済むことだ。電波の強いほうを端末が選んでくれるので、旅行中に回線のことを意識しなくていい。

欠点になるのは、意図的に片方に固定できないことだ。たとえば「この場所はKDDIのほうが速い」と分かっていても、端末がdocomoを掴んでいたら、そこから動かない。手動で選ぶ設定は用意されていない。

回線を選びたい人には物足りない。多くの人には、意識する必要がないという意味で、利点のほうが大きい。


「繋がりやすい」は正しい。ではどれくらい繋がるのか

二回線の話を踏まえると、Ubigi eSIMが繋がりやすいという評価は、理にかなっている。docomoの面の広さを土台に、KDDIで補完する。地方や山間部での安定性は、1社だけのeSIMより有利だ。

数字で目安を置くと、こうなる。都市部の4Gでおおむね50〜100Mbpsという報告が多い。5Gエリアではさらに上がるが、これは端末と場所に大きく左右される。

ここで注意したいのは、この数字を鵜呑みにしないことだ。速度の測定値は、時間帯、混雑、端末の対応バンド、ビルの構造で簡単に半分以下になる。旅先で必要なのは、速さの最大値ではなく、繋がり続けることだ。

実際の使い方に落とすと、こうなる。地図の読み込み、乗換案内の検索、写真の送信、短い動画の確認。この範囲なら、50Mbpsもあれば十分に快適だ。動画を高画質で見たい、テザリングでPCを繋いで作業したい、という用途になると、話が変わってくる。

繋がりやすさを優先するなら、行き先の地形を先に確認したい。山間部や離島が多い旅程ほど、二回線の利点は大きくなる。国をまたぐ場合は対象国の確認が先になり、その手順はヨーロッパ周遊の通信費を計算した記事に整理してある。


速度の話になると、評価は急に脆くなる

「Ubigiは速い」という主張には、注意が必要だ。

理由は単純で、この主張の多くが、提供元自身の発信に由来するからだ。自社のブログで実測値を出し、競合と比較する。それは珍しいことではないが、判断材料としては弱い。

第三者の測定や利用者の報告を見ると、評価はもっと地味になる。都市部で問題なく使える、地方でも繋がる、ただし混雑時には落ちる。つまり、特別に速いわけではなく、標準的に使えるという評価に落ち着く。

この違いは、購入判断に影響する。「速いから選ぶ」のであれば、他の選択肢も同じ土俵に並べるべきだ。実際には、どのサービスも都市部では十分速い。差が出るのは地方と、制限後の速度になる。

だから、速度を理由に選ぶのは、あまり賢い基準ではない。見るべきは別のところにある。


使い放題30GBは、Ubigi eSIMでは多いのか

Ubigi eSIMにも、上限付きの無制限プランが用意されている。ただし、無制限の意味は数字で定義されている。

フェアユースの上限は、期間ごとに決まっている。7日プランで25GB、15日プランで30GB、30日プランで60GB。これを超えると速度が2Mbpsに落ちる。通信自体は止まらない。

この設計を、他社と並べると特徴が見える。

サービス 高速で使える量 制限後の速度
Ubigi(15日) 30GB 2Mbps
Ubigi(30日) 60GB 2Mbps
一般的な無制限eSIM 1日1〜3GB 128kbps〜1Mbps
1日10GB型の無制限 1日10GB 128kbps前後

15日で30GBは、1日あたり2GBに相当する。動画を毎晩1時間見る使い方でも、まず届かない量だ。この余裕の大きさは、評価していい。

ただし、30日で60GBという数字は、思ったほど大きくない。1日あたり2GBで、15日プランと同じ計算になる。長期滞在で毎日動画を見るなら、後半で近づいてくる。

そして、上限に達した後の2Mbps。ここが、この商品の本当の分かれ目になる。


2Mbpsは速いのか。128kbpsと並べると答えが出る

制限後の速度は、数字だけでは実感が湧かない。実際の操作に落とす。

2Mbpsでできること。 地図アプリの検索と経路再計算は、待たされるが動く。写真1枚の送信は数秒。音声通話アプリは会話が成立する。テキストベースの調べ物は問題ない。

2Mbpsでできないこと。 動画の視聴は厳しい。低画質なら再生できるが、止まる。大きなファイルの同期、クラウドへの写真バックアップは現実的でない。

128kbpsでできること。 テキストメッセージの送受信。読み込み済みの地図の表示。それだけだ。新しく場所を検索すると、数十秒待つ。

この差が効くのは、旅の終盤だ。最終日に空港までの経路を調べ、フライトの状況を確認し、家族に連絡する。2Mbpsならこの一連が数分で終わる。128kbpsだと、同じ作業に10分以上かかる。

だから、無制限プランを比べるときは、「何GBまで高速か」と「その後の速度」をセットで見る。片方だけでは判断できない。30GBで2Mbpsという組み合わせは、量が多く、切れた後も実用になる部類に入る。

逆に、1日10GBで128kbpsという組み合わせは、量は十分だが、切れた後に何もできない。どちらが良いかは、使い方で決まる。他社の使い放題が実際どう動くかは、Holaflyを検証した記事で数字を追える。


1枚を使い回せるという主張は、回線枠と引き換えだ

Ubigi eSIMの構造で、他社と最もはっきり違うのがここだ。

一度インストールすると、プロファイルは端末に残る。次の旅行では、アプリで新しいプランを買うだけで済む。国が変わっても、QRコードを読み直す必要がない。

この利点は、2回目以降の手間がゼロになることにある。初回だけQRコードを読み、以降は購入して有効化するだけ。旅の直前に設定画面と格闘する時間が消える。

だが、代償がある。プロファイルが端末の回線枠を1つ占有し続ける。保存できるeSIMの枚数は機種ごとに上限があり、多い端末でも十数枚だ。入れ替えを重ねるたびに空きは細っていくので、役目を終えたものは消しておきたい。

そして、削除には注意がいる。消したプロファイルは、原則として元に戻せない。再発行の手段がない場合、次の旅行では新しく買い直すことになる。使う予定が残っているなら、削除せずオフで寝かせておく。この運用は、他のeSIMでも同じだ。

つまり、この主張は「使い回せる」ではなく、**「使い回す前提で枠を1つ確保する」**と読むのが正確だ。年に何度も海外に出る人なら、その枠は十分に元が取れる。年1回の旅行なら、枠を占有したまま10か月放置することになる。


Pixel 9と10の不具合は、他人事ではない

Ubigi eSIMはGoogle Pixelシリーズへの対応を公式にうたっている。だが、Pixel 9と10で接続不良の報告がある。アプリでのインストール中に不具合が出る、5Gに繋がらない、といった内容だ。

これは端末側のeSIM実装とプロファイルの組み合わせで起きる。すべての個体で発生するわけではないが、該当機種を使っているなら、購入前に確認したい。

対策として現実的なのは、3つだ。

  1. 購入前に、Ubigiのサポートページで該当機種の記載を確認する
  2. インストールは自宅の安定したWi-Fiで行う。現地で失敗すると立て直しが効かない
  3. 不具合が出た場合に備えて、別プロバイダーの安いプランを保険として持つ

3番目は大げさに聞こえるかもしれない。だが、連絡手段が絶たれるリスクを考えれば、数百円の保険は安い。端末のeSIM対応状況そのものは、型番からの確認で調べられる。


訪日客が日本で使う場合、話は別になる

視点を変える。日本人が海外に出る話として書いてきたが、「ubigi esim japan」という検索は、日本に来る外国人旅行者の視点でも行われている。同じ商品でも、立場が変われば注意点が変わる。

訪日客が日本でUbigi eSIMを使う場合、押さえるべき点は3つある。

ひとつ目は、対応端末の確認。 本国で使っている端末がeSIMに対応していても、キャリアロックが残っていると追加できない。日本に着いてから気づくと、空港で詰む。

ふたつ目は、設定を母国で済ませるか、日本のWi-Fiで行うか。 インストールには安定した通信が要る。飛行機を降りてから空港のWi-Fiで行うこともできるが、到着時間帯は混みやすい。

みっつ目は、日本語サイトの表示。 日本の予約サイトや交通案内は、海外のIPアドレスだと挙動が変わることがある。Ubigi eSIMはデータを現地で処理する構造なので、日本のサイトも本来の表示のまま出やすい。

日本国内の通信事情そのものは、日本で使えるeSIMの整理に詳しい。


では、Ubigi eSIMを買うべき人はどんな人か

5つの主張を確かめ終えたので、判断をまとめる。

向いているのは、年に複数回海外に出る人だ。1枚を入れっぱなしにして、旅行のたびにプランだけ買い替える。この使い方なら、2回目以降の設定がゼロになる。国が変わっても同じプロファイルで対応できる。回線枠を1つ使う代償も、使用頻度で回収できる。

向いていないのは、年1回だけ旅行する人だ。プロファイルを1つ占有したまま、次の旅行まで使わない。それなら、その旅行専用に安いプランを買ったほうが合理的だ。

10日間の旅行を想定して、支払額を並べてみる。

選択肢 10日間の目安 建値 制限後の速度
Ubigi eSIM(10GB/30日) 2,900〜3,500円 ドル 容量切れで停止
Ubigi eSIM(15日無制限) 6,500〜7,500円 ドル 2Mbps
円建ての専用eSIM 2,500〜4,500円 円 128kbps〜1Mbps

10日間で10GBを使い切る人は少ない。地図、検索、写真の共有、たまの動画。この使い方なら5GB前後に収まる。つまり30日プランの10GBを買えば足りる。この場合、Ubigi eSIMは2,900〜3,500円で、円建ての専用eSIMと極端には変わらない。

差が出るのは無制限を選んだときだ。15日で39ドル前後は、円換算で6,500円を超える。同じ期間を容量制限付きで過ごし、足りない分だけ追加するほうが安く収まる場合が多い。

旅行予約アプリ系のeSIMと迷っているなら、クルックのeSIMを旅程に沿って検証した記事が比較になる。同じドル建てでも、回線の選び方が違う。


使う前に確認する3つのこと

購入を決めたとして、実行前に確認しておきたいのは3点だ。

1つ目は、為替と手数料。 料金は米ドル建てで、日本のカードで払うと円換算される。海外事務手数料が上乗せされ、表示額の1割前後が実際の支払額になる。円建てのプランと比べるときは、この分を足して並べる。

2つ目は、定期購入の有無。 Ubigi eSIMには単発の旅行プランとは別に、月額のサブスクリプションがある。同じアプリ内に並んでいるため、購入時にどちらを選んでいるか意識していないと取り違える。旅行の予定が終わったら、更新の設定を確認したい。

3つ目は、返金の条件。 利用開始前なら対象、開始後は原則として対象外、という扱いが一般的だ。接続不良が続く場合の個別対応は、サポートとのやり取りになる。開始前のキャンセルがいつまで可能か、購入時に確認しておく。

eSIMの設定とアクティベートの手順と合わせて読んでおくと、現地での操作で迷わない。


それでもUbigi eSIMを選ぶ理由があるとすれば

欠点ばかりが目についたかもしれない。だが、選ぶ理由ははっきりしている。

複数の国を、同じプロファイルで回れること。 Ubigi eSIMの利点はここに集約される。ヨーロッパを5カ国回る旅程でも、東南アジアを3カ国回る旅程でも、QRコードを読み直す場面がない。国ごとにプランを買い直す手間が、構造的に消える。

そして、地方に強いこと。 docomoの面の広さは、都市部では実感しにくい。だが山あいの町や離島に出ると、はっきり差になる。この安心感は、旅の前半では見えず、後半で効いてくる。

品質を先に確かめたい場合は、0円のトライアルで動作を見てから決めるという順序もある。

5つの主張を並べ直すと、そのまま残ったのは2つだった。二回線で繋がりやすいこと、そして1枚を使い回せること。この2つは、他社が同じ形で真似しにくい部分だ。逆に「NTT系だから安心」「速い」「使い放題」の3つは、条件を付けて読む必要がある。宣伝文句をそのまま受け取ると、期待は旅の終盤で裏切られる。


料金とプラン内容は2026年10月時点の公開情報によります。対応端末と制限値は改定されることがあるため、購入前に公式サイトの最新情報をご確認ください。

🔗 こちらもおすすめ